グラフィックデザイナー マックス・フーバー写真展 “もう一つの世界”

このたび、スイス生まれのグラフィックデザイナー、マックス・フーバー(1919-1992)の写真展「もう一つの世界」を開催いたします。
若い頃はシュールレアリズムの画家を志すほどの描写力をもっていたマックス・フーバーは、チューリッヒの美術工芸学校に入り写真を学びました。バウハウスのフォトモンタージュやエル・リシツキー、ヤン・チヒョルト、ラズロ・モホリ=ナジらの仕事を知り、同校を先に卒業したワーナー・ビショップとスイス軍の徴兵時に親交を結び、その影響を受けて写真家を目指したこともあります。
本展では、1940年代にフォトグラムの手法で制作したものに加え、1950年代のイタリア、1960年代の日本で捉えた光景など、30数点を紹介いたします。これらの写真作品には、彼が後年に手掛けた企業広告ポスターや装丁作品に素材として用いられているものもあり、マックスのグラフィックデザイナーとしての視点と、バウハウス以降の造形に対する独自の世界観を体現しています。
日本の文化に関心があったマックス・フーバーは、1960年に東京で開催された世界デザイン会議に、イタリア代表としてブルーノ・ムナーリとともに初来日します。この席上で、会議の運営側デザイナーとして参加していた河野鷹思と意気投合、お互いの仕事を瞬時で理解し合うグラフィックデザイナーとしての交流が始まりました。翌61年、ミラノAGI(Alliance Graphique International=世界グラフィック連盟)に日本代表で参加した河野と再会したマックスは、留学先のストックホルムから合流した河野の長女、葵と知り合います。のちに彼女はミラノにあるマックスのスタジオでイラストレーターとして仕事をするようになり、二人は結婚しました。
葵・フーバー・コウノはマックス亡き後も南スイスに住みイラストレーションとデザインの仕事を続けており、今回の展覧会に合わせて来日します。また、本展の広報デザインはフーバー夫妻と親交のあるアートディレクター細谷巖、細谷ゲン両氏です。
今なお色褪せることのないグラフィックデザイナー、マックス・フーバーの「もう一つの世界」を、是非ご高覧ください。

会期中、本展にむけて解説をいただいた、美術史家の伊藤俊治氏にお話しを伺う時間を予定しています。トークイベントにつきましては当サイト、ギャラリー5610のホームページでお知らせをさせていただきます。
-Gallery5610-

タイトル:グラフィックデザイナー マックス・フーバー写真展 “もう一つの世界”
会期:2025年11月25日(火)〜12月10日(水)
開館時間:11:00〜18:00(最終日は16時まで)
会期中無休・入場無料
会場:ギャラリー5610