『りんごの村』新装復刊記念 河野鷹思のグラフィックデザイン展
京都と東京、二つの書店にて
復刊を記念して、初版『りんごの村』の制作をはさんだ1930-60年代にかけての河野鷹思の仕事の一部を、本や雑誌を中心に展示します。
<京都>終了しました。
誠光社:4月1日(月)~15日(月)
10:00~20:00 最終日は18:00まで
京都市上京区中町通丸太町上ル俵屋町437
<東京>
森岡書店:5月7日(火)~12日(日)
13:00~19:00 最終日は18:00まで
東京都中央区銀座1−28−15 鈴木ビル1階
<森岡書店> 河野鷹思のグラフィックデザインワーク
本展は『りんごの村』をはさむ1930-58年にかけての本や雑誌の仕事を中心に、ポスターとポートフォリオを含めてご紹介します。
河野鷹思は1929年に東京美術学校(現東京芸術大学)在学中に、松竹キネマ株式会社宣伝部に就職し映画広告や美術を担当しました。当時は映画製作の大ブームで、予告用のポスターのほか折込広告、新聞・雑誌の広告など、それぞれの媒体に合わせてデザインを制作しました。若く仕事の早い河野に対して会社の上司は社外の仕事に寛大であり、書籍の装幀や雑誌の表紙デザイン、新聞や雑誌小説の挿し絵もその頃に手がけました。そのひとつ、西條八十主宰の雑誌『蠟人形』の表紙デザインを1931年に竹久夢二から引き継ぎ、描き文字とイラストレーションが好評を博しました。
1930年代後半から世の中が戦争へ向かって変化をしていき、ジャワで敗戦を迎えます。捕虜生活から解放された1946年、帰国後最初の仕事が戦前からの旧知・伊藤逸平主宰イヴニングスター社刊<諷刺雑誌「VAN」>の表紙と中身のカットなどのイラストレーションでした。同じくイヴニングスター社の「黒猫」「人間喜劇」等の諷刺雑誌のほか書籍も多数手がけ、福田勝治写真集『花と裸婦と』の装幀も行いました。今回展示する1941年装幀の福田勝治写真集『銀座』は、東京大空襲を受ける以前の銀座の街並みの写真集です。そこには華やかな人々の生活と共にうっすらと戦争への影もレイアウトされ、カバーデザインは今の時代でも手にとりたくなるイラストレーションが描かれています。
1950年代にはいると『りんごの村』を含め国語教科書の表紙絵や茶道綜合誌「淡交」などを手がけました。学生のころから海外に目を向け英語も堪能であった河野は、1956年欧米を周るデザイン視察に向います。今回、その視察に携行したシルクスクリーン印刷による20葉1組のポートフォリオのうち5作品をジークレープリントで復刻、限定販売します。また、1955年までの初期作品集『青春図會』をはじめ、『りんごの村』の見開きをモチーフにしたオリジナルハンカチ、2003年「なかなかなさかなかな展」のさかなモビールなどのグッズも販売します。
初日は、森岡さんによるインスタライブ(5/7(火)19:00より@moriokashoten) を予定しています。
お問い合わせ=スパティオ5610/東京都港区南青山5-6-10 / 03(3407)5610 / info@deska.jp
月: 2024年5月
What’s new
『りんごの村』復刊記念、京都誠光社、東京森岡書店、二か所で開催いただいた「河野鷹思のグラフィックデザイン展」に続き、Gallery5610のウィンドウと奥のSPaTio5610にて『りんごの村』フェアを開催します。小出正吾さんの書いた文章は、児童書という枠におさめず世代を超えて読んでいただきたいお話しです。
SPaTio内では河野鷹思の『りんごの村』をはさむ戦前から戦後にかけての書籍雑誌の仕事と、関連作品を展示します。
森岡書店の入っている鈴木ビルは、1929年(昭和4年)竣工の「東京都選定歴史的建造物」であり、日本工房が国際報道工藝株式会社と名を変える頃、このビルを社屋としていました。
ベルリンから帰国した名取洋之助の立ち上げた日本工房が、報道写真を軸に日本の文化を海外へ発信するべく1934年に創刊した対外文化宣伝グラフ雑誌『NIPPON』のデザインとレイアウトは、戦後モダンデザインの源流といわれ、今の時代に見ても劣らないものです。今回は河野鷹思がデザインを担当した1938年『NIPPON15号』の表紙と掲載された東京観光絵地図のページを展示します。
1930年代後半から世の中が戦争へ向かって変化をしていき、1941年に徴用された河野はジャワで敗戦を迎えます。1946年捕虜生活から解放され帰国、最初の仕事が戦前からの旧知・伊藤逸平主宰イヴニングスター社刊<諷刺雑誌「VAN」>の表紙と中身のカットなどのイラストレーションでした。同じくイヴニングスター社の「黒猫」「人間喜劇」等の風刺雑誌のほか書籍も多数手がけ、福田勝治写真集『花と裸婦と』の装幀も行いました。
1950年代にはいると『りんごの村』を含め国語教科書の表紙絵や茶道総合誌「淡交」などを手がけました。1956年、欧米を周るデザイン視察に向かいます。今回、上記のイヴニングスター社の仕事に加え、その視察に携行したシルクスクリーン印刷による20葉1組のポートフォリオのうち、ジークレープリントで復刻した5作品を、展示販売します。