素数は整数の中でランダムに現れる。素数の並びに意味はあるか？ その問いについて数々の数学者が研究を行ってきた。
レオンハルト・オイラーはオイラー定数によりπとの関わりを導き出し、カール・フリードリヒ・ガウスは自然対数の定数（e）との関係を突き止めた。その後、ベルンハルト・リーマンが、ゼータ関数により導き出された非自明なゼロ点は、全て直線上にあるはずである、と予想した。ただし、現在まだその答えは出ていない。
注目したいのは、πは「円」、自然対数は「螺旋」、ゼータ関数においては「直線」という、形態についてのキーワードが出てきたことで、そこにグラフィックデザインの分野から何か探究できる余地があるのではないか、と感じたのが着想に至った経緯である。
グラフィックデザインの手法（DTPソフトウェア等）を用いて、素数の配置が持っているかもしれない美しさを視覚化し、表現として定着することを試みた。


●長井健太郎 / Kentaro NAGAI
アートディレクター／グラフィックデザイナー。東京造形大学造形学部デザイン学科視覚伝達専攻卒業。株式会社グラフレックスディレクションズ代表。
CI、VI、エディトリアル、パッケージ、サイン、プロダクト等のアートディレクション、及びデザインを手がけ、ビジュアルコミュニケーションにおける表現の可能性を探究。
NY ADC、D＆AD、EPICA AWARDS、A’Design Awards、東京ADC、カンヌ国際広告祭、AD STARS、香港ポスタートリエンナーレ、世界ポスタートリエンナーレトヤマ、文化庁メディア芸術祭等、入賞・入選。
ONE CLUB、D＆AD会員。 東京造形大学グラフィックデザイン専攻領域教授。