Past Exhibition
STILL PLUS Photo Exhibition
2019年4月20日(土)〜4月26日(金) 11:00AM〜6:00PM 会期中無休
この度、ギャラリー5610において『STILL PLUS Photo Exhibition』を開催する運びとなりました。
様々な視点で活動する7人の写真家による、STILL PLUSを展示します。
西洋美術において静物画『STILL LIFE』として確立された表現は、写真表現にも大きな影響を与えました。そして静物を観る眼差しや思考は、時代の流れの様相に呼応しながら多様化し変化し続けています。
写真家という凝視者は、日常社会のなかでモノの存在を意識すると自己の感性でその距離を探り、答えを導き、言葉や意思の存在しない被写体に、時空、光、思考、そして感情を重ねて、視覚伝達させていきます。
そして写真として記録されることで静物は熱を放ち、静から動へ、冷から温へ、ゼロからプラスへ転化され、動かぬモノにあらたな思考と解釈、創造とメッセージを重ねはじめます。 多様化する視点の中、あらためてその変化を生み出し、新たな世界を創り出すことを『STILL PLUS 』と呼ぶこととしました。
今一度、静物と向き合い写すことで我々が何を感じるのか、その答えを見つけにお越しいただければ幸いです。
●参加写真家
さとうしんすけ・長井 維一郎・中本 徳豊・野毛 隼人・林 雅之・望月 孝・山平 敦史
●協力
ギャラリー5610、銀一株式会社
●アートディレクション、グラフィックデザイン
小島利之
※参加写真家による同一の被写体によって表現された STILL PLUS も合わせて展示します。
●問い合わせ先: STILL PLUS実行委員会 林雅之 stillplus2019@gmail.com
<STILL PLUS実行委員会>
発起人=林 雅之(有限会社林雅之事務所)/ 中本 徳豊(株式会社中本スタジオ)/ 小島 利之(有限会社小島デザイン事務所)
<参加写真家プロフィール>
・さとうしんすけ
茶道では、軽いものは重いものを扱うように、重いものは重さを感じさせずに扱う。私はそれは所作の美しさであったり、「ものを大切に扱う心」と解釈している。写真家として、ものを大切に扱うとはどういうことなのか? そんな日々悶々とする疑問に答えを出すために、自分のものたちと、もう一度対話し、見つめ直し、写し、STILL PLUSとして発表することにした。そして、安らぎと焦燥が入り混じる日曜の午後、じぶんのたいせつなものが一番素敵に見える光が当たるのをみながら、シャッターを押した。
青森県生まれ 日本写真芸術専門学校卒業 フォトグラファー山口恵史氏に師事後フリーランスフォトグラファーとして活動中。
・長井 維一郎(ながい いいちろう)
物に近づくとよく見えますが、近づきすぎるとよく見えなくなります。その距離を明視距離といい正常な目では 25cm だそうです。見えているよう でもはっきりとは見えていない世界が存在します。 肉眼では近づけないような近距離で物を見てみると構造の複雑さに驚いたり、全く異なる物に見えてくることもあります。明視距離の中で、その気がつかなかった何かを見つける旅に行くように撮影してみました。
1974 年千葉県出身。撮影プロダクションに勤務後2000年よりフリーランス。商品撮影を中心に活動中。
・中本 徳豊 (なかもと のりとよ)
仲間が勧めてくれた静物画の本を読んでいる影響と思うが、アトリエの窓から差し込むやさしく淡い自然光が、その場をヨーロッパ調の重厚な世界に変え、たまたま置いてあった近所で買った野菜やケースのプラごみごときを『絵』として浮き出させはじめた。すぐにフォーカスした。美しい! 次々に普段気にも止めない『もの』ペットボトルやトイレットペーパーなどを置いてみた。浮き立ち上がる物の存在感、立体感、それはまさしく絵画の世界だった!(画家の気持ちに少し触れられた気がした)
1974年フリーカメラマンとして独立。1985年株式会社中本スタジオ設立。2016年フィギュアスケートNHK杯より報道カメラマンとして活動中。1992年ハナエ・モリギャラリーオープンスペースにて個展。 2018年ギャラリー5610にてモスクワ展開催。
・野毛 隼人 (のげ はやと)
物は決して言葉を保持しない。しかし、撮影者の視点を介した静物写真に、鑑賞者は特別な意味を持つ言葉を見つける事がある。物に対するそれぞれの想い。鑑賞者の記憶とのリンク。想像力は増幅され、新たな価値が生まれる。「祖父のことを知りたい」そんな思いがこの作品の起点になっている。祖父の生活空間や大切にしている物を撮影し、そこに存在する言葉に耳を 澄まし、想像すること。それらを大切にし、私は写真を撮り続けている。
神奈川県出身。スタジオアシスタントを経てフリーランスとなり、現在に至る。雑誌、広告、WEB媒体など、東京を拠点に活動中。 2011年NO.12GALLERY「maroc」、2018年room103「Crossing Moment in Morocco」
・林 雅之 (はやし まさゆき)
マネキンは過剰に消費される服飾産業のなかで、彩色を施されて人間の様相に近づいて仕事を全うするが、人間社会の感情、所業を冷たい身体に受け止めながらも、消費主義の結末を案じているようにも思えるのである。 産廃物として処分されるまで、もの言わぬマネキンと言葉のない会話を交わし、芽生えた感情を写真に重ね合わせると、マネキンが佇む静かな時空がそっと動き出すように思う。私にとってのSTILL PLUSとはこのようなことかもしれない。
東海大学教養学部在学中より写真を始め、プロダクトや家具などのスチル ライフを中心に撮影を行う。主な写真展 1992年「TOU」GALLERY KOYANAGI、2000 年「Document1982~ 2000」Sagacho ExhibitSpace、2009 年「Keika」Onshitsu、2010 年「Building Building」SpiralGarden、2015年「the secret life of mannequins」 Bunka Fashion College、2017年「naked taniku at aglaia」aglaia Intellectual and Comfort
・望月 孝 (もちづき たかし)
この写真作品は、決定的でタブローのような1ショットではなく、何層にも重なるレイヤー構造を作って全体と部分の寄り引きを繰り返し、被写体が変化する様を短編映画のように撮影したものです。絵画的モチーフを散りばめ、引用し、パロディ化し、個人的なオブジェの物語を封じ込めてい ます。視点が移動し、関心事が変化して、築き上げ、壊れ散る個人的なドキュメンタリー作品です。
東京生まれ。多摩美術大学絵画科油画専攻卒業。広告写真プロダクションを経て1998年よりフリーランスフォトグラファー。広告を中心に幅広いジャンルで活動中。
・山平 敦史 (やまひら あつし)
毎日台所に立つ。我が家の健康は私が支えているという少しの自負を持ちながら。切ったり剥いたり割ったり叩いたり。その時、シンクに落ちた食べ物の余分なかけらを見ると、食べ物の生きる力にふと考えることがある。今回、役目を終えたその瞬間まで中身を守っていたものの最後の形を、ありがとうの意味を込めて写真に収めてみた。そのままゴミ箱に捨てるには惜しい姿がそこにあった。普段口にする食べ物への感謝の表れ。それが今回の私にとってのSTILL PLUSだと思う。
東京理科大学理学部卒業後、製薬会社に勤務。退社した後、麻布スタジオに勤務し本格的に写真を始める。麻布スタジオを退社後フリーランスとして雑誌を中心に活動中。