Past Exhibition
長崎剛志/N-tree 28周年記念庭園美術展『原始庭苑』
2024年 9月28日(土) 〜 10月5日(土) 11:00AM〜6:00PM
N-tree代表庭園美術家の長崎剛志が手がけるN-tree 28周年記念庭園美術展『原始庭苑』(げんしていえん)。長崎は、石、木、空気、人間の根元的な関係によって生みだされる庭を、自ら庭園美術と呼び、表現活動をしてきました。そして、近年の神社仏閣のプロジェクトに携わる中で、幼少期の奈良で過ごした原風景が蘇り、庭の道と結びついたことに気がつきます。それは、石舞台の不自然な形象や東大寺南大門の柱(神)に見える木魂に導かれ、美術の道を歩んだこととも繋がります。飛鳥・奈良時代から1400年が経ち、時代が加速する今日、あらためて現代の神社と寺院の庭園を思惟する上で、長崎は『原始庭苑』というテーマを挙げ、以下のように考えます。
「庭の源流を探すために時代を遡ろうとしても原始にたどり着くことはできない。なぜなら原始は時代とともに今を進み、動くものである。決して原始人や原始美術などの持つ過去に留まったプリミティビティではないはずだ。なぜならそれは、はじまりの創造を意味する。日々の進化のために原始は存在し、人間には原始を生み出す使命がある。したがって原始庭苑は、今にも飛び立つようなエネルギーを持ち、自然のエレメントに人間の精や細胞呼吸をも感じさせるものであり、その空間に立つ時、自然に手をあわせたくなるような気持ちになる庭でなければならない。」
本展覧会は、写真、映像、図面や試作模型、庭を構成する様々な素材を使ったインスタレーション作品、石の彫刻や木板画など、28年間の創作活動を再び組み直すことで見えてくる、<庭苑-芸術>のオリジンを提唱する作品展です。また、2025年にかけて、長崎、奈良、マドリッドを巡回する展覧会として開催を予定しております。
●長崎 剛志(ながさき たけし)
N-tree代表 庭園美術家、1970年 奈良県生まれ。古都奈良で過ごした幼少期に、建築家の父親に連れられ、身近に神社仏閣に接する。京都東寺にある仏教高校卒業後、東京芸術大学美術学部絵画科に進学。在学中スペインに渡り、マドリッド・コンプルテンセ美術大学で聴講生として油絵を学び、復学後木版画や木彫を始める。1991年から1992年と1994年、ラコタ族(アメリカ・サウスダコタ州)のレザベーションを訪れ、自然・樹木に対する信仰を経験。 1995年大学卒業後、独学で作庭を学び、1997年にN-tree (庭ノ心 ながさ木)を設立。
その頃から障害者芸術をサポートするエイブルアートムーブメントに参加し、展覧会のキュレーションなどにも関わる。2005年~2007年、石と木によって生みだされる庭の仕事から得た着想をもとに、個展「Seeds(種)」シリーズを発表。2008年〜2010年、イギリス・ロンドンでの作庭が“ART GARDEN”として批評され、海外のプロジェクトに繋がっていく。帰国後、東日本大震災では以前からつながりのあった仲間と「復興支援プロジェクト 庭JAPAN」として松島、石巻などで支援活動に取り組んだ。2019年〜2024年、長崎県諫早神社の江戸期に作られた庭園を改修した神仏習合の庭「諫早神社の御神苑」が竣工。現在東京を拠点に世田谷の個人邸、ロンドンの集合住宅の中庭など国内外のプロジェクト進行中。代表作に「黒土と六角錘の庭」(2008 年 神奈川) 、「Subtracted Garden」(2008 年 イギリス)、「Homogenous Garden」(2013 年 インド) 、「818 Garden」(2013 年 フィリピン) 、「舟ノ庭」(2015 年 東京) 、「OGROD POEZJI 計画案」(2016 年 ポーランド)、「三業の石据」(2017 年 埼玉)、「自然な庭、不自然な庭。」(2018 年 東京)、「西治プロジェクトの茶庭」(2024 年 千葉)など。主な展覧会として「Seeds 1〜5」(2005 年〜2007 年 東京)、「MEMENTO GARDEN」(2009 年 ロンドン)、「石と種」展 (2016 年 東京) など。
賞歴
2017 年 集合住宅[神楽坂薫木荘]外部空間担当 GOODDESIGN AWARD2017 受賞
2007 年 ガーデンアーキテクチャーインターショナルアワード best private plot 2007 入賞 Loisium Visitors’Center,Loisium Allee,Langenlois,Austria
2001 年 平成二畳台目茶室コンペ[土日庵]入賞・蔵の会賞 受賞 養寿院、川越、埼玉
主な作庭
2024 年 諫早神社の御神苑, 長崎
2024 年 西治プロジェクトの茶庭, 千葉
2018 年 自然な庭、不自然な庭。, 東京
2017 年 三業の石据, 埼玉
2016 年 集の庭, 埼玉
2015 年 舟ノ庭, 東京
2014 年 雲と山の庭, 山形
2013 年 818 Garden, フィリピン 2012 年 Homogenous Garden, インド 2010 年 Paradise Lost, イギリス 2009 年 Decked in Green, イギリス
2008 年 Subtracted Garden, イギリス 2008 年 黒土と六角錘の庭, 神奈川
2007 年 葉山丘邸 場の形プロジェクト, 神奈川
2006 年 方位の無い庭, 東京
2004 年 鳥海家の墓庭 天ノ庭, 千葉
2002 年 今ノ庭 [間・02], 東京
2000 年 幻想の空間, 東京
主な個展
2016 年 石と種展 / MDP GALLERY, 目黒, 東京
2009 年“MEMENTO GARDEN” KOUKAN / Gallery,Muswell Hill,London,UK
2007 年“Space of Encounter:New Japanese garden movement” / The Gallery Alan Baxter,London,UK
2007 年 Seeds-5 “長崎剛志の蒔いた種” / Gallery OPEN DOOR, 銀座, 東京
2007 年 Seeds-4 “木を切る答え” / Galleria Grafica bis, 銀座, 東京
2006 年 Space-1 “庭と建築の時間軸” / PRISMIC Gallery, 南青山, 東京
2005 年 Seeds-2 “樹霊・木魂の復活” / PROMO-ARTE Gallery, 青山, 東京
2005 年 Seeds-1 “種(くさ)のいろ” / AU HASARD, 世田谷, 東京
その他の活動
2011 年 東日本大震災復興支援プロジェクト 庭 JAPAN 活動報告会 東京、ロンドン他
2004 年 N-tree art space project [庭、建築、アートの関係を探る試み]
1999 年 エイブル・アート 99’このアートで元気になるサブキュレーター 東京都美術館, 上野, 東京 1998 年 エイブル・アート・コラボレーション 98’ VIVIRA [命のはじまり]キュレーター&アーティストベネッセコミュニケーション・ギャラリー, 多摩, 東京
哲学・作品写真
長崎は庭のためのアートオブジェをつくるとき、自然のもつ美しさに対する感動を、そのままの形に置き換えたいと考えています。その行為はそれらを刻んで形をつくり出すのではなく、それを型取ることにより自然を保持することです。竹、石、葉、などの素材はガラス、ブロンズなどのアートオブジェとして、庭に明かりや潤いを与えるための要素に生まれ変わります。それらのアートオブジェは美しさへの感動と共に庭への思い出(MEMENTO)をも内包しています。その眼に見ることのできない想いを物質化する象徴主義的方法は、禅の精神哲学をもつ日本庭園より影響されたものと言えます。
長崎はこのようにコメントしています。「私の庭に据えるアートはあまり主張をもっていません。浸透して見えなくなるぐらい甘くて曖昧な雰囲気のものです。」2009 年 9 ⽉ ”MEMENTO GARDEN”プレスリリースより
<関連イベント>
●ギャラリーツアー「手で話す。触って話す。」
見えない人、聞こえない人と巡るギャラリーツアー。
日時:9月29日(日)14:00〜16:00
手話通訳付き / 全作品蝕察可能 / 参加費無料 / 要申込(info@n-tree.jp)
●トークイベント「これからの神社仏閣の庭を考える。」
日時:10月5日(土)14:00〜16:00
手話通訳付き / 参加費無料 / 申込み不要
詳細は N-tree のウェブサイトをご覧ください。