Past Exhibition
白井晟一の「原爆堂」展 新たな対話にむけて
2018年6月5日(火)〜6月30日(土) 11:00AM〜6:00PM 会期中無休/最終日4PMまで
「原爆堂」を知っていますか。
これは第五福竜丸が核実験の犠牲となった1954年、一人の建築家が広島、長崎の惨禍に向き合い計画したものです。この当時、映画や文学、美術や写真、漫画などの分野からは、核をテーマに多くの作品が生まれましたが、建築の分野からは原爆堂(「TEMPLE ATOMIC CATASTROPHES」)が唯一です。
白井晟一による原爆堂は、人類が手にした核が引き起こす制御不能な破局を見つめ、「共存」への願いを表すものでした。しかし、この計画から六十余年、日本は被ばくの被害を受けた国であるだけでなく、未曾有の原発事故によって海と空に放射能を拡散し、核の加害者という立場にもならざるを得なくなりました。
戦後の歴史において原爆堂計画が意味するものは何なのか。また、さまざまな対立と分断の中、どのように「共存」を思い描いていくことができるのか。3.11以降の私たちに切実な問いかけをなげかける原爆堂を、本展覧会であらたに製作されたCG、そして遺されたパースや設計図とともに展示・紹介したいと思います。さらに、インタビュー映像や会期中のワークショップなどを通じて、本展覧会が核をめぐる立場を超えた「新たな対話」の場となることを心より望んでいます。(「原爆堂」展制作グループ )
現在、原爆堂建設委員会によって、国境を越えた被ばく医療に役立つ施設の中心として原爆堂の建設実現を目指すプロジェクトが模索されています。本展覧会は、このプロジェクトの一環として企画されました。
主催:原爆堂建設委員会
監修:白井晟一研究所
問合せ:「原爆堂」展事務局 info@genbakudo-project.com
webサイト
●白井晟一(しらい せいいち)
1905年京都生まれ。京都高等工芸学校卒業後、ハイデルベルク及びフンボルト大学でヤスパース等に指示。帰国後は建築家として「秋ノ宮村役場」「浅草善照寺」「ノアビル」「新和銀行」「虚白庵」「松濤美術館」そして「原爆堂計画」などを設計。高村光太郎賞、建築年間賞、建築学会賞、毎日芸術賞、芸術院賞、サインデザイン賞を受賞。装幀家・書家としても実績を残し、また、エッセイ集『無窓』(1979 筑摩書房、2011 晶文社)がある。1983年死去。享年78歳。没後1988年に白井晟一全集(同朋舎)が発行されている。2010 – 11年に展覧会「建築家 白井晟一 精神と空間」(群馬県立近代美術館、パナソニック汐留ミュージアム、京都工芸繊維大学)。
【会期中のイベント】
※各イベントのお申込みはWEBをご覧ください。
■こども哲学カフェ 6月9日(土)14:00~15:30
【ファシリテーター】NPO法人こども哲学おとな哲学アーダコーダ 井尻貴子氏
「こどもの哲学」は、みんなで一緒に問い、話し、考える時間です。今回は、建築家・白井晟一さんの展示をきっかけに「対話ってなんだろう」「世界中の人と仲良くなれるかな?」などについてやさしく哲学します。
対象:小学4年生以上(親子参加可)
定員:親子10組(こども15名)
参加費:1000円
■サイエンスカフェ「放射線を知ろう!見てみよう!」 6月17日(日)14:00~16:00
【講師】宮川隆氏(薬剤師・東大附属病院放射線科特任助教・環境省「原子力災害影響調査等事業」メンバーほか)
難しく感じがちな科学の問題を、わかりやすく、身近な問題として科学者と一緒に語り合い学ぶサイエンスカフェ。今回は「放射線」とはどのようなものか?自分の目で見る経験を通し、詳しく考えてみます。
定員:20名 参加費:1500円(お茶付)
■トークイベント 6月24日(日)14:00~16:00
【ゲスト】五十嵐太郎氏(建築史・建築批評家)
稲葉俊郎氏(東大附属病院医師)
定員:30名 参加費:1500円